R/C/T 残像メンタルトレーニング

R/C/T 残像メンタルトレーニング

高岸弘のコラム

2010.12.01
高岸弘のコラム

簡便さも人気の秘密

残像メンタル・トレーニングが注目された三つめの理由は、その簡便さであろう。

私たちが作成した残像カードは、縦・横がほぼ10.5センチ×7.5センチ。
表と裏にそれぞれ図柄が描かれている。
胸ポケットにおさまみ大きさだからどこへでも携帯できるし、トレーニングそのものには数分もあれば充分である。

あなたがスポーツ選手なら、練習と練習の合間や試合前の短い時間を縫って、すぐにでも取り組むことができる。
受験生であれば、勉強を始める前や、ひとつの科目から次の科目に移る休憩時間を利用するのもよかろう。
また、あなたがビジネスマンなら、ひと息入れるときのタバコやコーヒー代わりにもってこいだ。

訓練を積んだ人のためには、1.5センチ四方の小さなシールがある。
これを目につくところに貼っておけば、カードを取り出さなくても、シールに目をやるだけで残像を呼び出すことができる。
実際、朝日新聞で紹介された中京大中京高校の選手たちは、これを帽子やバット、グラブに貼り、試合中にベンチでたびたび見るようにしていたという。
プロ・ゴルファーのなかにも、クラブのグリップエンドに貼ってラウンドしている選手が何人かいる。

が、それはそれとして。

残像メンタル・トレーニングの成果がスポーツ界でとりわけ顕著なのには、それなりの理由がある。
スポーツは、当面の目標が非常にはっきりしている世界だ。
トレーニングの成果も、勝ち負けや数値となって端的に示されるから、取り組む側は真剣にならざるを得ない。
勢い、目標達成の確率も高くなる。

スポーツほどではないが、学習の面でも、成果の有無は目に見える形、すなわち点数となって表れる。
残像カードはすでにいくつかの学習塾で使われるようになっているが、おしなべて、生徒たちの成績は上がっていると聞いている。

特に授業の始めにカードを使うと、脳が引きずっている遊びのイメージが消え、スムーズに授業に入れるという。
序章で、問い合わせの件数が「水泳教室やテニス教室の指導員、中学・高校の運動部の指導者、学習塾経営者の数が抜きん出て多かったのには、なるほどと思わせられた」と書いたのは、このためである。

これらに比べれば、研究やビジネスの世界では、成果のほどは測りにくい。
トレーニングを積んだからといって、急に斬新なアイデアが浮かんだり、営業成績がうなぎ登りになったりするというものでもなかろう。
成果が誰の目にも明らかになるまでには、それなりの時間が必要と思われる。

ただ、目下いくつかの企業の社員研修に招かれている私の実感するところでは、好ましい兆候は表れているようだ。
スポーツや学習に効果があって、研究やビジネスにはまったく役立たないというはずはない、と私は勝手に信じ込んでいる。

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