R/C/T 残像メンタルトレーニング

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高岸弘のコラム

2012.01.13
高岸弘のコラム

昼夜をともに知ること

現代の都会では、昼夜を問わない生活が当たり前になっているから、前回述べた話に当てはまらない人もいるかもしれない。
それでも、まだまだ一般論としては通用するはずだ。

営業が深夜に及ぶ飲食店で働く人でも、たとえば午前二時に店を閉めたとして、それから寝入るまでの夜間(季節によっては明け方)に、大脳辺縁系の活躍の場があるのではないだろうか。
正午近くに目覚め、仕事に出かけるまでの昼間に、その時がやってくるようにはどうしても思えない。

いわゆる「専業主婦」とて例外ではなかろう。
主婦の昼間の活動を想像してみるに、炊事・掃除・洗濯・買い物・PTAの会合や地域のサークル活動、それに井戸端会議。
子供が熱を出せば面倒をみなけれぜならないし、寝たきりの老人がいれば介護の責任を負わされる。
けっこう忙しい毎日を・大脳新皮質に導かれて大過なくこなしている(と思いたい)。

そして夜、亭主が帰宅するのを待ち構えるようにして、愚痴や不満を吐き出す。
これを適当にあしらわれたり、亭主が泥酔して相手にならなかったりすると、彼が眠りに落ちたあとも一人目覚め、やはり大胆な発想や断固たる決断に身をまかせるのである。

違いがあるとすれば、昼間の活動に手抜きも可能だということ。
そんなときには、昼間から大脳辺縁系の活躍の舞台が整えられることになるかもしれない。
また、昼と夜の差が勤め人ほど大きくないから、深夜の大胆な発想や断固たる決断が、夜明けとともに雲散霧消するとは限らないだろう。
だから、彼女たちの決断は油断がならない。

ともあれ、私たち平均的な人間が、昼と夜とでどんな違った状態にあるかを、思いつくまま列挙して比較してみると-。

[昼の状態] [夜の状態]
・全体として緊張状態・・・・・・・ 全体としてリラックス状態
・集中力は「周辺集中」優位・・・・・・・ 集中力は「一点集中」優位
・脳波はβ波支配・・・・・・・ 脳波はα波支配
・知性に導かれて行動・・・・・・・ 感情に導かれて行動
・現実的な思考・判断・・・・・・・ 夢想的な思考・判断
・肉体も活動・・・・・・・ 肉体は休息
・仮面をかぶる・・・・・・・ 裸になる
・食事はエネルギー源・・・・・・・ 食事は楽しみ
・恋愛は心のつながり・・・・・・・ 恋愛は肉体の触れ合い

 

繰り返して言えば、これら昼夜の両方が備わってこそ人間である。
だから、昼間の顔だけを見て、人柄を判断することはできない。
私たちが真の友を得たり、生涯の伴侶を見つけたりするときに、昼間の付き合いとともに、夜の付き合いも欠かさずに行うのは、そのことを遺伝的に知っているからなのだろう。

この伝でいけば、世にあふれている性格診断テストや心理テストの類も、昼間に実施しただけでは、正当な評価を下したとは言えない気がする。
同じテストを夜にも実施してこそ、トータルな人間像が把握できるのではなかろうか。

もっとも、これが難しいことは容易に想像できる。
一度やったものでは先入観が入ってしまい、真っ白な気持ちで取り組むことができないだろう。
だから、私は、これらのテストはほとんど信用しないことにしている。

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